五女夏音 (辻仁成・著)
辻仁成が南果歩との結婚生活をベースに
執筆したといわれる小説。
初版は2001年だから
20年前の作品だが
古臭さはなく面白かった。
主人公の小説家、大造は
結束が固い5人姉妹の
末娘・夏音に丸め込まれて
婿養子として結婚し
義母、義兄、甥姪も含めた
2+9人の大家族との共同生活を始める。
とにかく騒々しい日々の中で
家族とは何なのか?
夫とは?父親とは?幸せとは?と
悶々と考えをめぐらす。
たとえば結婚式当日は
結婚して真の幸福が得られるのだろうか。ほとんどの人は、結婚に幸福
を夢見て突入するはずである。最初からこのような疑念を抱いている 私がとても幸せになるとは思えない。(p.78)
と不安にさいなまれ
子どもが生まれたときは
母親に負けないほど愛情身を迸らせて、最初から接することができる
男もいるだろうが、私にはそんな感覚は理解できなかった。(p.253)
と実感がわいていない。
こんな感じでずっとグダグダ言ってるので
「まさかこのまま終わるのか?」
と思っていたら最後に
結婚に反対していた大造の父による
愛情と慈愛に満ちた
深い家族観が出てきて
めちゃくちゃほっこりしたw
妻の夏音が自宅出産を試みるも
妊娠中毒症になり結局
病院で出産する様子は
なかなかすさまじい。
これもノンフィクションなんだろうか。
だとしたら南果歩って
相当強情なのね...。
結婚や子作りについて
男性目線による
リアルな心情吐露が多いので
半分エッセイみたいになっている。
男性読者ならめちゃくちゃ
共感できそうな本だ。
五女夏音 (辻仁成・著)
もくじ
第一節 大家族との遭遇
第二節 大家族の内部構造
第三節 隠忍自重主義
第四節 結婚とは
第五節 新婚忍耐生活
第六節 悲劇と喜劇の狭間で
第七節
落ちこぼれ同盟 第八節 シングルマザー
第九節 父親猶予期間
第十節 滅私のすすめ
第十一節 元気になぁれ
第十二節 父親の自覚
第十三節 家
族解体 family disorganization 第十四節 家族から遠く離れて
第十五節 さらな
る旅立ち