夫婦ってなんだ?(トミヤマ ユキコ・著)
2019年発行
芸能人から映画・小説など
フィクションまで
古今東西の夫婦像をピックアップし
論評した本。
筑摩書房のPR誌で連載されていた
コラムをまとめたものだ。
糟糠の妻、極道の妻、
仮面夫婦、おしどり夫婦、
別居夫婦、卒婚カップル、
はては動物のつがいから
SF映画に出てくるAI夫婦まで
いろいろ出てくる。
インスタグラムで夫婦の
ペアルック写真をアップして
人気を博す60代の夫婦、
めちゃかわいい...。
3年前の本なのに
木下優樹菜は人気ママタレ
扱いになってるのは笑った。
かねてより奇々怪々だと思っていた
故・野村克也&沙知代夫妻に
ついても言及されていて
ちょっと満足。
著者は文芸ライターなのか?
あらゆるフィクションから
様々な夫婦像を引用しており
作品目録としても楽しめる。
たとえばこんな感じ。
豊田徹也のコミック『アンダーカレント』(二〇〇四ー五年)
夫婦再会の席で明かされたのは、悟が虚言癖の持ち主で、呼吸するように嘘をつき続けていたということ。しかし悟はそんな人生の途中でかなえと出会い、本当のことを打ち明けたいと思うようになっていた。つまり、かなえは愛されていたのだ。しかし、悟は結局嘘つきの自分を捨てられぬまま、かなえの前から逃げ出した。そしてすべての嘘は、山崎の調査によって暴かれたのである。(p.130)
嘘をつき続けてたのに
愛してたとか言われてもね。
黒島伝治の小説『老夫婦』(一九二五年)
貧しい農家の夫婦が、都会に暮らす息子夫婦と同居することになったものの、田舎者過ぎて一緒に生活するのが恥ずかしいひと、みたいな扱いを受けてしまう、という話(p.75)
100年前の小説だよ。
でもこれ、現代でもありそうだ。
細田昌史『ミュージシャンはなぜ糟糠の妻を捨てるのか?』(イースト・プレス、二〇一七年)は、この最悪のトライアングルがなぜ完成してしまうのか、
本当に夫と愛人だけが責められるべきなのかを、客観的事実と著者に よる推論の合わせ技で解き明かそうとする一冊。取り上げられている のはTERU(GLAY)、布袋寅泰、桜井和寿(Mr.Children)、小室哲哉、矢沢永吉の五人である。
(中略)捨てられる糟糠の妻はもちろんつらいが、捨てる夫だってつらかったはず。そんな信念に貫かれた大物ミュージシャン5人の離婚物語は、「類推」な んて生半可なものではなく「壮大な二次創作」とでも呼ぶべきものにな っている(p.57)
ナニコレ面白そうw
...とひとりブツブツ言ってると
あっという間に
読み終わるw
しかしこうして見ると
「世の中には実にいろいろなタイプの
夫婦がいるものだなア...」
という感慨にひたる。
まあ濃淡こそあれどこも
こんな感じで、
むしろサザエさん夫婦みたいな
ザ・普通(に見える)カップルのほうが
めずらしいのかもしれない。
つまるところ、当事者が満足して
他人に迷惑かけてなければ
どんな形でもいいのだ。
ありきたりすぎる結論ですが。
あとやっぱり
金の切れ目が縁の切れ目
というのも改めて思った。
なんだかんだ書いてあっても
「この夫婦は金があって
こっちはなかったんだよね~」
という目で見てしまう。
タイトルの
夫婦ってなんだ?
という問いに答えるならば
それは生きること
でありすなわち「お金」だよなとか思う。
夫婦ってなんだ?(トミヤマ ユキコ・著)
2019年発行
もくじ
- 夫婦って親友!?
- コケる夫、働く妻
- 夫はいたりいなかったりだが、ママタレは進む
- 我々は心配するのやめ、 AI を愛するようになれるか
- 捨てられる妻、捨てられない妻(片づけ上手とかではなく)
- ニッポンの未来は老夫婦が作る、のか!?
- 仮面の酷薄
- 時をこえる夫婦
- 夫婦げんか、回避すべきか完遂すべきか?
- 夫婦2.0の歩きかた
- 失踪する夫婦たち
- 君は誰と酒を飲む?
- 亭主極道で留守がいい!?
- 野生の夫婦たち
- 夫婦は遠くにありて思うもの
- 部屋とユニフォームと私
- 卒婚しようよ
- 平成最後の夫婦愛
付録 3Bと付き合ってはいけない!?
あとがき